特定の領域や固定観念に囚われない石岡のどの仕事にも奮い立たされたが、私が最も印象に残っているのは、主に化粧品・ファッション広告を扱った第1章「Timeless:時代をデザインする」だった。
加えて、消耗品の脱脂綿です。
現在も販売されている商品名で1964年当時の発売元は藤沢薬品でしたが、その後合併、売却を経て現在は第一三共ヘルスケアが販売しています(製薬会社の合併史は、銀行並みにややこしいですね)。
ある日、発明品として持ち込まれた紙製生理用品を目にした彼女は、自らこれを商品化してみようと思い立つ。
その後、パッケージに差がある廉価版や、 ネルで腹部と腰を覆った冷え対策型、 経血が漏れて衣服に染みないようゴムが二重のタイプ、 ゴムに凹凸を施した脱脂綿ヨレ防止型、さらには、 月経時だけでなく普段も着用できるズロースタイプなど、 次々と改良版が発売され1939年には9種類に増えたためです。
管理人の蒐集品の蔵でもあり趣味が前面に出てしまっている感は否めませんが(汗)、 レトロな女性誌を捲る感覚でどうぞ御高覧くださいませ。
1933(昭和8)年の主婦之友6月号の付録で 女性のための健康情報を網羅した『婦人衛生宝典』では、 「いわゆる「通経剤」は謎」の中で通経剤を否定しています。
そのせいと決めつけることはできませんが、 当時の女性雑誌の読者投稿のコーナーを見ると、 煩悶する読者からの生理に関する相談が多く掲載されています。
2点とも1973年(昭和48年)女性自身1月6日・13日合併号より アンネナプキンについてもっと詳しく知りたい人は、 『月経をアンネと呼んだ頃 生理用ナプキンはこうして生まれた』を、 ちょっと詳しく知りたい人は『生理用品の社会史 タブーから一大ビジネスへ』を、 サラッとでOKという人は、わたくしめのサイト 「月経帯からアンネナプキンまで 明治・大正・昭和~女性雑誌の生理用品広告集」 をどうぞご覧くださいませ。
「9時から5時までオフィスで働いている人は、飢えることもない代わりに、けして金持ちにもなれない」 金持ちになるためには、組織から抜け出して何かを始めなければならない。
最近話題の濃厚接触ではないが、人間はいつの時代にも見えない不安には抗えないということなのだろう。
17今、女性が経血処理を常に心配せずに快適な生活が送れているのは、先人たちの絶え間ない努力があったからだ | 11月、水洗トイレに流せる「アンネナプキン」を発売 |
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発売にあたって渡は、キャッチコピーに頭を悩ませた | 社会を変える、社会貢献のための事業であれば億単位の出資をすると言い、実際にそれを実行する |
ノブレス・オブリージュなどという言葉は、別世界の話だと思っていたが、女性たちの最も身近な日用品が、その精神によって生まれていたのである | 押さえつけると滲んできそうな気がする |
「アンネナプキン」発売の広告 | ライオンの広報部でさえ、週刊誌の取材に対し、「アンネという名前も、今となってはネーミングがダサい」「(坂井さんは)性格がおハデ」などと、否定的なコメントをしている |
「アンネ」という呼び方を経て、いま私たちは月経のことをためらい「生理」と呼べるようになったのだ | 少し前までは医師が安い布で作って使い捨てにしてもよいと言っていたのですが |
出資スポンサーとして 現・ が参加していた | 強弱の防水紙が2種類あることを見分けることができませんでしたので、 解体したナプキンの中身をすべて並べた写真を追加します |
巻末の資料を見ても解るが、アンネナプキンの広告はお洒落で可愛く、女に生まれて良かったと心から思えるもの | 私、ある方面で40前後の方々のグループにて非常勤にて余暇をカウンセラーとして働いておりますが、私共の仲間の間では貴社のお名前を拝借してこの日を「アンネの日」と呼び合っています |
この画像では4つの構造で成り立っているように見受けられますが、 説明書によると防水紙が「強防水紙」と「弱防水紙」とあるのです | 週刊誌の記事はさておき、なぜライオンがアンネ社や坂井さんに対して「冷たい」のか、謎である |
しかしその後も極貧生活は続き、奉公先から中学校へ通った | (アンネナプキンの使用法説明書と製品案内など) ナプキンの使い方以外にも使用後のナプキンの水洗トイレへの流し方の説明があり、 アンネットという生理用ショーツの上に普通のパンティを穿きましょうと書かれています |
自宅に招いてくれたこともあった | 『改訂版実用服飾用語辞典』山口好文編(文化出版局、1992) 最後までお読みくださってどうもありがとうございます |
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* 東京都現代美術館で開催中の『石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか』では、ファッション広告がいかにしてジェンダー観を更新してきたかの軌跡を見せてくれる | このうち、1割の占拠でも300万人で、これが毎月ときている |
ルビを「つきやく」としたのは、まるで 月経があなたの悩みの大本でしょうと言っているかのようです | ちなみにだが、アンネ社はこの後も秀悦な広告を頻発し、次々と「日本雑誌広告賞」を受賞している |
ましてや今以上にジェンダーに関する固定観念が強かった時代の話だ | 坂井のすごさは、アイディアに目を止めただけではない |
それまで順調だった生理が滞ったり止まってしまったらどうですか? 生理のことを親しい人や家族に対してさえも気軽には口にすることが できない、百年近く前の女性たちの悩みの深刻さは・・・・・・ | 今でもないわけではないだろう |
Mさんは11歳のとき満州で終戦を迎え、路上で煙草売りをしながら何とか生き延び、帰国を果たした | 女性の場合は、ちょっと事情が違う |
こういう部分も彼女の先見の明と感覚がぞんぶんに生かされていたと言ってもいい | そのような状況のもと 「2、3ヶ月の滞り、又は長くつきやくなく、血のかたまりなど」を「快治す」る とか、 4、5ヶ月生理が止まっていても効果があるとした薬で、しかも それが密かに入手できるとあれば中絶の効果を期待して 試みる人もいたのでしょう |